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「子どものユーモア」
やっと春らしい、穏やかな日が続いております。
この時期は、子どもの世界では卒園式や卒業式などの別れがあり、おとなの世界でも転・退職による別れがあります。それぞれに、一時期をともに過ごしたなかまと別れるということは、悲しく辛いことでもあります。しかし人間は、この経験を繰り返す中で少しずつ成長していくということも事実のようです。子どもたちの、やがて訪れる新しい世界での活躍と成長を皆さんとともに祈りたいと思います。
さて、次の作文は、かつて私が勤めていた学校の4年生の子どもたちの作文です。忙しい日々の中で、「子どものユーモア」に救われた経験は私だけではないと思います。読者の皆さんにも、ユーモアのおすそ分けをしたいと思います。
■この前の保健集会は、「骨の話」だった。
養護の教諭が、「人間の骨は、全部で何本くらいあると思う?」と質問し、「50本・100本・200本」の中から選ぶように言った。
そして正解の「200本ぐらい」が発表された時、私のそばにいたAくん、「先生、交通事故で骨折した人は、もっと数が多いんでなあ。」とつぶやいた。私、「? ? ? ・・・・」。
■鍛錬遠足に行った時に持ち帰った山柿を、教室で干し柿にして吊るしてあった。
先日、みんなで分けて食べた。とても甘かった。しかし「初めて食べた。」と言う子が多かったのには驚いた。しかも種を持って帰った子もいた。どうするのだろう?
まさか、種を植えたら、木に干し柿が生えるとでも思っているのだろうか?
■昨日はバレンタインデーだったので、次の朝、教室で「昨日チョコレートをもらった人?」と聞いてみた。「お母さんから」、「おばあちゃんから」と言う子もいたし、女の子同士で渡したという子もいた。
「いや、そういうのではなくて、女の子から『好きです』のひと言とともにもらった子はいないの?」と聞いた。
シーン・・・・。「情けないのう!」と言うと、Bくんが、「僕はもらいたくねぇ。だって、お返しをするお金がねぇ。」と言う。そこで、「でもなあ、もっと大きくなって、1個ももらい出さんかったら、さみしい人生やでぇ。」と、わが青春を振り返りつつ言うと、さっきのBくん、「生きてるだけでも、人生です!」
と言った。
そのことばを聞いていた女の子からは、「おじさんみたい!」と笑われていたが、Bくん、あんたはエライ!
■C子さんの家庭訪問で、お母さんにこう話した。
「この学級は、みんな素直だし、やさしいし。でも手がかからない代わりに面白味という点では物足りない気も・・・」と。
それから数日経った日のこと。算数のわり算の勉強で、3年生の復習として簡単なわり算をさせた。ところがすっかり忘れていたので、つい大声を出して、「こんなのがわかっていなかったら、4年生の勉強に進めんなあ・・・。」と嘆いた。
するとC子さん、
「先生、この前の家庭訪問で、何か困ることがある方がおもしろいち、お母さんに言うたんじゃろ!」。
いらんことはよう覚えちょる!
子どもたちの素直さや明るさは、私たちおとなの気もちを穏やかにしてくれます。春の陽ざしのように・・・。