本文
障害者差別解消法(平成28年4月1日施行)
障害者差別解消法の施行
障がいのある人への差別をなくすことで、障がいのある人もない人も共に生きる社会をつくること(共生社会の実現)を目的として、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(通称『障害者差別解消法』)」は平成25年6月26日に公布され、平成28年4月1日より施行されました。
障害者差別解消法とは?
この法律は、障がいを理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項や、国の行政機関、地方公共団体等及び民間事業者における障がいを理由とする差別の解消するための措置などについて定めることによって、すべての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現につなげることを目的としています。
なお、この法律では障がいのある人すべての人が対象となり、障がい者手帳所持の有無は関係ありません。
法律の概要
この法律は26の本則の条文と附則からできており、
- 障がいを理由に差別的取扱いや権利侵害をしてはいけない。
- 社会的障壁を取り除くための合理的な配慮をすること。
- 国は差別や権利侵害を防止するための啓発や知識を広めるための取り組みを行わなければならないこと。
を定めています。
障がいを理由とする差別とは?
障がいを理由として、正当な理由なくサービスの提供を拒否したり制限したり、条件を付けたりするような行為をいいます。
また、障がいのある方から何らかの配慮を求める意思の表明(※)があった場合には、負担になり過ぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮(合理的配慮)を行うことが求められます。こうした配慮を行わないことで、障がいのある方の権利利益が侵害される場合も、差別に当たります。
※知的障がい等により本人自らの意思を表明することが困難な場合には、その家族などが本人を補佐して意思の表明をすることもできます。
社会的障壁とは?
障がいのある方によって、日常生活や社会生活を送る上で障壁となるようなものを指します。
- 社会における事物(通行、利用しにくい施設、設備など)
- 制度(利用しにくい制度など)
- 慣行(障がいのある方の存在を意識していない慣習、文化など)
- 観念(障がいのある方への偏見など)
などがあげられます。
- (例1)街なかの段差
3センチ程度の段差で車椅子は進めなくなります。 - (例2)書類
難しい漢字ばかりでは、理解しづらい人もいます。 - (例3)ホームページ
すべて画像だと読み上げソフトが機能しません。
障害者差別解消法のポイント
「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮の不提供」が禁止されます。ただし民間事業者における合理的配慮の提供は、努力義務となります。
不当な差別的取扱い | 障がい者への合理的配慮 | |
---|---|---|
国の行政機関・ |
禁止 不当な差別的取扱いが禁止されます。 |
法的義務 障がい者に対し、合理的配慮を行わなければなりません。 |
民間業者(※) ※民間業者には個人事業者NPO等の非営利事業者も含みます。 |
禁止 不当な差別的取扱いが禁止されます。 |
努力義務 障がい者に対し、合理的配慮を行うよう努めなければなりません。 |
不当な差別的取扱い
正当な理由がないのに、障がいがあるということでサービスなどの提供を拒否したり、制限したり、また、障がいのない人には付けない条件を付けたりすることです。
<具体例>
「障がいがある」という理由だけで・・・
- スポーツクラブに入れないこと
- アパートを貸してもらえないこと
- 車椅子だからといってお店に入れないこと
などは、障がいのない人と違う扱いを受けているので「不当な差別的取扱い」であると考えられます。ただし、他に方法がない場合などは、「不当な差別的扱い」にならないこともあります。
合理的配慮の不提供
障がいのある人から何らかの配慮を求める意思の表明があったにもかかわらず、「社会的障壁」を取り除く合理的な配慮をしないことです。
<具体例>
- 聴覚障がいのある人に声だけで話すこと
- 視覚障がいのある人に書類を渡すだけで読み上げないこと
- 知的障がいのある人にわかりやすく説明しないこと
などは、障がいのある人には情報を伝えていないことになり、「合理的配慮をしないこと」になります。負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要な合理的な配慮が求められます。
市民のみなさんに求められる対応は?
差別をなくし、豊かな共生社会を実現するために、一人ひとりが障がいについて正しく理解し、お互いに助け合うことが必要となります。