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今日は、3月8日、日曜日。国東地方は朝から快晴。春を感じさせるやわらかな光が降り注ぎ、さわやかな風が吹いている。私はこの1週間のよどんだ空気を入れ替えたいと思い、わが家の窓という窓を開け放った。相変わらず、全国的に新型コロナウイルスの報道が続き、学校は「全国一斉の臨時休校」中であり、学校から子どもたちの声が消えた。あれから1週間が経過した。
2月27日(木曜日)の夕方、「安部総理が3月2日(月曜日)から全国の小中高、特別支援学校の一斉休校を要請」とのニュースが流れた。「日本中に感染が拡大しつつある」という認識は国民も持っていたとは思うが、大分県あるいは国東市にはまだ感染事例が出ていなかっただけに、青天の霹靂という感じだった。ところがこの日、北海道では「緊急事態宣言」が出され、さらに次の日のニュースでは、全国で感染者や死者が増え、新しく宮城県や高知県でも患者が出たことが報じられた。「一斉休校」は仕方がないとしても、せめて準備期間がほしいという学校現場の意見もあったが、事態は待ってはくれないという現実もあった。
さて、危機管理の心構えとして、「さ・し・す・せ・そ」ということばがある。「最悪を考え、慎重に、素早く、誠意をもって、組織力で対応」の頭文字をとって「さ・し・す・せ・そ」と表現しているのだが、今回の事態を通して思うことは、危機管理の中でも「さ・最悪を考え」の難しさである。新型のウイルスだけに、検査にさえ時間がかかり、さらに薬もなく、陰性患者がしばらくして陽性患者に再燃するという事例も発生する中で、誰も「最悪」が想定できなかった。こんなに感染が拡大するということを想定できなかったために対応が遅かったという批判につながった。もちろん医者の多くも想定できなかったのだろう。
そんな中、本市では2月28日(金曜日)の10時から臨時校長会を開催し、3月2日(月曜日)からの「一斉休校」を指示した。学校にすれば、子どもたちの下校まであと4、5時間しかないことになる。休校中の過ごし方の指導、宿題をどうするか、卒業式の指示、中3には高校入試に向けての指導も必要であるし、武蔵地区の小・中学校の閉校式もある。時間がいくらあっても足りない。
そんな状況下の1週間を振り返ってみて、特に次の2点について感慨深いものがあった。
1つは、前述したように時間のない中で、教職員は見事に子どもたちに指導や指示を適切に行った。この対応力、組織力に感動と感謝をするしかない。その実、ある方からこんな話を聞いた。「保護者である従業員から、『先生たちっち、すごいなぁ。時間がない中で宿題もきちんと出してくれて。』と聞きました。」と。先生たちの危機管理の「す・すばやく」や「そ・組織的対応」が徹底しているなぁとほめてくれた。
そしてもう1つ。私たちが最も心配したのは放課後児童クラブの運営で、いつもと違って午前中から開所しなければならない。子どもが集中して、指導者が足りるのか、マスクや消毒液の準備が間に合うのかなどと心配した。そこで開所1日目の2日(月曜日)、市教委の指導主事と手分けをして市内の放課後児童クラブを巡視した。私も国東町の4か所を巡視したのだが、私たちの不安は一蹴された。児童クラブにできるだけ集中しないように、「可能な限り家で過ごしてほしい」という市教委からの呼びかけに対して、「祖父母にみてもらっている」、「近所の人や友人が預かってくれている」、「きょうだいで助け合うようにした」などの配慮があったと聞いた。こんなことは都会では考えられないことで、特に、近くに祖父母・親戚がいることの″田舎の強み″を思い知らされた。ありがたいことである。
そうは言うものの、子どもたち、特に中3の卒業式は簡素化した卒業式だったし、この先、小6の子どもたちも例年のような卒業式ができないかもしれない。中3は落ち着いた高校入試を迎えることが難しいかもしれない。また、今後の検討課題として、未履修をどうするか、通知表をいつ渡すのか、修了式や異動する先生との「お別れ会」はできるのかなどの問題がある。
子どもたちには謝りようがないが、一刻も早い時期に、再会を喜び合う日を迎えたいものである。
がんばろう!! 国東の子どもたち、そして市民の皆さん!!