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地方創生が始まって10年。政府の検証では、地方への移住の増加など一定の成果があったとする一方で、人口減少や東京一極集中の流れを変えるに至らなかったと総括しました。 そもそも地方創生はどうあるべきなのか。まずは自分のまちを知り、強みを伸ばし、弱みを克服していく政策が必要です。
国東市の弱みは「少子化による人口減少」です。ではどうするか。若者の転出をいかに減らせるかが課題です。若者が少なくなると出生数も減少し、人口減少と高齢化が急速に進むからです。なぜ若者は都会に出て行くのでしょうか。若者にとっての居住地の魅力は、経済力が強く、文化や娯楽性の高い地域です。つまり所得が高く、楽しい場所です。東京や福岡などの都会での生活の満足度が、移り住むためのコスト(親や親しい友人との別れなど)より大きいと転出を選ぶのです。従って、若者の転出を抑制するためには、国東市の「満足度」を上げていく施策が必要です。
一方、国東市の強みは何でしょうか。世界農業遺産に認定された森林や田畑など、先人が知恵を絞って作ってきた農林水産業が残っていることです。都会に比べて、格段に新鮮で美味しい野菜や果物、魚介類が手に入ることです。これは、人生を楽しむための基本、健康寿命を延ばすことにもつながります。さらに、物価が安いことも魅力です。都会で高所得を得ても、住居費や物価が高く、結局、手元に残るお金は地方で暮らした場合とあまり変わらない例が多いようです。
文化については、1300年の歴史を持つ唯一無二の六郷満山文化や時代の先端を行く現代アートが点在する、世界でも稀有な場所です。娯楽では、都会のような大きな娯楽施設はありませんが、峯道ロングトレイルやサイクリング、サップやシーカヤック、釣りやキャンプなど、「本物」のアクティビティが楽しめます。都会の娯楽を望むなら、九州で最も東京、大阪に近い大分空港から、わずかな時間で遊びに行ける絶好の地理的条件も大きな強みです。さらに子育て世代の皆さんにとっては、親世代との近居は子育ての支援を得られますし、子どもの成長にもプラスです。
新年度は、こんなにも暮らしやすく、楽しい国東市に、若者が残り、またUターンしてもらえるような施策を、どんどん推進して行きたいと考えています。