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国東と世界をつなぐ、野外の教会
国東半島は両子山を中心にいくつもの谷によって構成され、谷ごとに集落が生まれています。かつては隣り合った集落へも簡単に行き来することはできなかったといいます。
だからこそ集落ごとに祭りや独特の風習が今もなお残っているのでしょう。かつて多くのキリシタンが暮らしていたこの地域には、今でもその名残が多く散見されます。
16世紀にこの地域に生まれた一人の青年は海の向こうを夢見て、長い時間をかけて日本人として初めて聖地エルサレムを巡礼しました。この青年、ペトロ・カスイ岐部の足跡に感銘を受け、教会の裏山に川俣 正が制作した“説教壇”。屋外の教会でもあり、ペトロカスイ岐部の道行きを追体験できる回廊でもあるこの作品は、過去と未来を繋ぐ壮大な物語を紡ぎ出している。
川俣 正
Tadashi Kawamata
《 説教壇 》