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感染性胃腸炎の患者発生は、例年、12 月の中旬頃にピークとなる傾向があります。
この時期に発生する感染性胃腸炎のうち、特に集団発生例の多くは、ノロウイルスによるものと推測されています。
このページではノロウイルスについての正しい知識と予防対策についてご紹介します。
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生していますが、特に冬季に流行します。ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします。健康な方は軽症で回復しますが、子どもやお年寄りなどでは重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。
ノロウイルスについてはワクチンがなく、また、治療は輸液などの対症療法に限られます。
感染力が強く少量のウイルスでも感染が拡大しますので、普段からの予防に努めましょう。
このウイルスの感染経路はほとんどが経口感染で、次のような感染様式があると考えられています。
特に、食中毒では 3 のように食品取扱者を介してウイルスに汚染された食品を原因とする事例が、近年増加傾向にあります。
また、ノロウイルスは 3 、4 、5 のように食品や水を介したウイルス性食中毒の原因になるばかりでなく、1 、2 のようにウイルス性急性胃腸炎(感染症)の原因にもなります。この多彩な感染経路がノロウイルスの制御を困難なものにしています。
現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。このため、通常、対症療法が行われます。特に、体力の弱い乳幼児、高齢者は、脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を充分に行いましょう。脱水症状がひどい場合には病院で輸液を行うなどの治療が必要になります。
止しゃ薬(いわゆる下痢止め薬)は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ましいでしょう。
手洗いは、 手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法です。
患者の飛沫および、便やおう吐物に触れることで手にウイルスが付着し、その手を介して口や鼻の粘膜から感染します。
帰宅時、調理の前後、食事前、トイレの後などは、手を石けんでよく洗い、流水でしっかり流しましょう。
感染者のおう吐物や便にはウイルスが大量に含まれており、乾燥するとウイルスが空気中に漂いますので、適切に処理しましょう。
一般にウイルスは熱に弱く、加熱処理はウイルスの活性を失わせる有効な手段です。ノロウイルスの汚染のおそれのある二枚貝などの食品の場合は、中心部が85℃~90℃で90秒以上の加熱が望まれます。
ノロウイルスに有効な消毒方法は、加熱消毒と次亜塩素酸ナトリウムを希釈した塩素消毒液による消毒のみです。
加熱できるものについては煮沸等熱湯による加熱、スチームアイロン等高温の蒸気による加熱、高温乾燥機による加熱が有効です。
いずれの場合も85度以上の高温が1分間以上保たれるよう加熱してください。
その他、ノロウイルスや食中毒に関する詳しいことは下記ページをご覧ください。